Waterpolo’s blog

水球について思う事を書いていきます

水球のタイムアウトのタイミング

水球タイムアウトについて

バスケやアメフトの様に、水球にもタイムアウトというルールが存在する。1回の攻撃時間が決まっている水球において、強制的に時間を止める事が出来るタイムアウトは、状況によっては自チームを有利な状況に導き、ひいては勝敗にも影響するものである。今回はそんなタイムアウトについて考えていく。

タイムアウトの定義


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水球競技ハンドブック2019」から、タイムアウトの重要な部分を抜き出すと、

  1. 各チーム各試合につき2回請求出来る
  2. タイムアウトの時間は1分
  3. タイムアウト後は、攻撃側チームの誰かがハーフライン上または自陣の任意の場所でボールをインプレーにすることにより再開される(他のプレーヤーは相手陣地に入る事が出来る)
  4. ボールを保有していないチームがタイムアウトを請求した場合、競技は中断され、相手側チームにペナルティースローが与えられる(ただし、競技残り 1 分内にペナルティースローがチームに与えられた場合、その監督はボールの保有権を選択することも可能で、その場合はフリースローが与えられる。タイムキーパーはショットクロックを 30 秒にリセットする。)

というものである(全文は本記事の最後に記載)。

 

タイムアウトのメリット


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タイムアウトのメリットとしては、以下の点が挙げられる。

  1. 1分間のインターバルにより、体力回復、作戦確認の時間が取れ、更に流れを中断する事が出来る。
  2. タイムアウト後はセットを組んだ状態からスタート出来るため、セットを組むまでの時間を短縮する事が出来る。
  3. 相手側チームにペナルティを与える代わりに、マイボールのチャンスを増やす事が出来る。

タイムアウトのデメリット

タイムアウトのデメリットとしては、以下の点が挙げられる。

  1. 1分間のインターバルにより、相手チームに体力回復、作戦確認の時間が取られ、更に良い流れも中断されてしまう。
  2. タイムアウト後は相手チームもセットを組んだ状態でスタート出来る。
  3. タイムアウト後に失点すると、自チームに取って通常の失点よりも更に悪い流れになりやすい。

タイムアウトを請求すると効果的な場面


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以上のメリットデメリットを踏まえ、タイムアウトを請求すると効果的な場面について、考察してみる。


1 ラリーが続き、自チームの分が悪い時

これはメリットの1に関係する。

ラリーが続き、自チームの分が悪いときには、1分間のインターバルを取るためにタイムアウトを取ることは有効である。例としては、学生チームと社会人チームの試合で、体力勝負では社会人チームの分が悪い中、ラリーが続いた時には、タイムアウトをとり、休ませた上でセットで攻めるのは効果的である。

2 退水を取ったが、シュートまでに時間がかかる時

これはメリット2に関係する。

例えばフローターバックがカウンターを出した際、フローターから退水を取った場合、そこから退水セットを組むまでに早くても10秒はかかり、その後20秒以内にシュートを打つ必要がある(更に退水者が入水する時間も考慮しなければならない)。

その様な状況であれば、退水直後にタイムアウトを取る事で、タイムアウト後にセットを組み充分な時間を用いてオフェンスする事が出来るため、効果的な使い方と言える。

3 リスクを冒してでも点を取りたい時

これはメリット3に関係する。

これは、リスクを冒してでも点を取りたい時、言い換えれば、リスクを冒さないと試合に負けてしまうケースが想定される。ただし、ラスト1分以内タイムアウトの場合には相手はボールを保有する事も出来ることから、正味使う機会はかなり限られるものとなる。

タイムアウトを請求してはいけない場面


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では逆にタイムアウトを請求してはいけない場面とは何か、考察してみる。なお、相手ボールの時、というのは省略する。

・セットを組む以上のシュートチャンスが生まれている時

これは、タイムアウトを請求しなくてもシュートチャンスが生じる場面が想定される。例えば、少人数でのカウンターや退水が発生している場面である。この様な場合にタイムアウトを請求してしまうと、多人数でのセット攻撃となり、タイムアウトを請求する前より不利な状況になってしまう。

 

流れを変えるためのタイムアウトについて


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タイムアウトのメリットとして、「タイムアウトは流れを変えられる」と考える人も多いと思うが、この点については少し注意して考えたい。

確かにメリット1のとおり、タイムアウトはインターバルにより物理的に流れを中断する事が出来るため、自チームの流れが悪い時に取ることは一見有効的と思われる。しかし、デメリット3のとおり、タイムアウト後に失敗してしまうと、流れを変えたいと意気込んだにも関わらず変えられなかったことから、自チームの気持ちも落ち、更に相手に流れが向いてしまう可能性もある。その為、流れを変える意味でタイムアウトを請求するのであれば、他のタイムアウトを請求すると効果的な場面にあわせたり、失敗しても致命傷にならない又はタイムアウトで流れを変えないと致命傷になる様な場面で請求すべきだと考える。

最後に

今回は水球におけるタイムアウトについて、請求すると効果的な場面について考察してみた。水球では、タイムアウトのタイミングによって勝敗が分かれる事も多々あり、監督の腕の見せ所でもある。この記事を読んだ方が、少しでも参考になった、面白いと思っていただければ幸いである。

 

参考 タイムアウトの定義 抜粋元

公益財団法人日本水泳連盟水球競技ハンドブック(2019ー4ー1)より

WP 13.1 各チームは各試合につき 2 回タイムアウトを請求できる。タイムアウトの時間は 1 分。タイムアウトは、攻撃側チームのチームオフィシャルのセクレタリーまたはレフリーに対する「タイムアウト」の申告と T 字型の手の合図によって、随時(ゴールイン後の再開前も含む)請求できる。タイムアウトの請求があった場合、セクレタリーまたはレフ
リーは笛の合図で競技を直ちに中断し、競技者は各々の自陣に直ちに戻ること。又、タイムアウト請求は、試合で使用が認められた機器によって行うこともできる。
【注:ペナルティースローが与えらた時は、タイムアウトを請求することができない。】
WP 13.2 タイムアウト後の競技は、レフリーの笛の合図によって攻撃側チームがハーフライン上または自陣の任意の場所でボールをインプレーにすることにより再開される。但し、コーナースローが行われる前にタイムアウトが請求された場合、そのスローは維持される。
【注:ボールの保有時間はタイムアウト後の競技再開から継続される。】
WP 13.3 ボールを保有しているチームのチームオフィシャルが、認められた数以上の取る資格のないタイムアウトを請求した場合、競技は中断され、相手側チームの競技者がハーフライン上でボールをインプレーにすることにより再開される。
WP 13.4 ボールを保有していないチームのチームオフィシャルがタイムアウトを請求した場合、競技は中断され、相手側チームにペナルティースローが与えられる。
【注:不当にタイムアウトを請求した場合は、請求を行ったチームは、(タイムアウト請求権が残っている場合は)タイムアウトを請求する権利を一回分失うことになる。】
WP 13.5 タイムアウト後の再開において、競技者はフィールド内のどの位置にいてもよい。但し、コーナースローの規則が適用される場合はそれに従うこと。